２０００年、だから？

せいれき[西暦] キリストの誕生の年を紀元とする、西洋の暦。西紀。

「っていうかみんな２０００年２０００年言ってるけど」
暖房の効いた部屋の中でミカンの皮を剥きながら私は唐突に思う。
「一体何に対して２０００年なワケよ？」

何に対して２０００年なのかというと、キリスト生誕から２０００年たった、というだけなのである。
それだけなのである。
しかも、正確に言えば、キリスト生誕から２０００年というのも、２０００年になってからさらに１１ヶ月と２４日間あと（１２月２５日）の事なのである。紛らわしい。
いや、待てよ？生まれたのは１年だから、生誕２０００年記念はさらに一年後なのか？
いやいや、彼は紀元前４年に生まれたとかいう噂もあるし、だとすると生誕２０００年記念ってのはもう過ぎてしまっているのか？
まったく・・・。
そう、２０００年というのは誰かが勝手に決めた相対的な時間の計測法が、たまたま「キリの良い」数字になるというだけなのである。
平成１１年１１月１１日１１時１１分１１秒１１を見逃した事で地団太を踏んだ自分には何の疑問も持たなかった私も、２０００という数字に浮かれている世間を見ると一言二言、いや、三言くらいは文句を言いたくなる。
たった一人の人間の誕生年を基準に測った年月に、何の意味があるというのだろう？
例えばキリストより後に生まれた諸葛孔明君の誕生年を東暦１年としていたならば、２０００年問題はあと１８１年後に起こる問題であった訳であり、だとすればＹ２Ｋ問題なんて起こらないのかもしれないのである。

例えば私が勝手に「マイ時間」とかいう時間測定法を作ったとする。
無論私が生まれた日がＷＡ一年一月一日である。ちなみにＷＡとは、（ＷatashigaumaretayoriAto＝私が生まれたより後）である。従って、その前年は、ＷＭ１年（WatashigaumareruMae＝私が生まれる前）と表現する事になる。
微妙に英語圏の人間に逆らってみせているが、ローマ字を使っているあたりが私の限界。
生まれた時間を０時０分とすると、人々が目覚めてバリバリに働いている時に曜日が変わる事になり、それはやはり何かと不都合もあるだろうから我慢して、世間一般で言う「３時１２分４４秒」あたりを０時０分０秒とする。
一日を一日、また、一年を一年と決めているのは天文学的に根拠のある事なので、この単位はそのまま使用する。ただし、一日は２５時間で、（つまり今で言う57.6分が一時間に当たる）、一時間は５０分、一分は５０秒。
いや、同じ単位を使うと紛らわしいので、２３時４５分０２秒は、２３田４５会０２人とか言っておこうか。小学一年生にも優しい漢字使用だ。
ちなみに一年は楓、木枯し、雪、梅、桜、雨、竹、瓜、光、風の１０ヶ月。

さて、そうすると、マイ時間での今現在の時刻はＷＡ２Ｘ年、木枯し３２の日、２５田０３会２１人である。

「だから何だよ！？」

あなたは今こう思ったに違いない。私も思った。
そうなのである、だから何なのだ！？なのである。
そして、キリスト生誕年を基準に測った西暦だって、それと大して違いはないのである。
私が今思い付きで作った自己中心的な時刻測定法と比べ、西暦というのは広く使われているというだけの違いしかないのである。（いや、それが一番重要だという意見もあるのだけれど）

西暦２０００年、すなわちキリスト生誕２０００年記念を、世界中で祝おうというのか！！
アフリカの人々よ、白人に虐げられた悲劇の歴史を忘れていないか？！
日本人よ、自分達の誇りを忘れていないか？！

この間見たＴＶで、イスラム教徒がこう言っていた。
「私はキリスト教徒ではありませんが、一緒に２０００年を祝いますっ！」

何だか、がっくりきてしまった。
もっと無意味に逆らってみようよ・・・。

勿論何らかの基準は必要であるから、西暦というシステムを否定しているわけでは勿論無い。
しかし、１９７３年や１９９５年などの一般市民的一年と比べ、特別な祝福されるべき年であるかのような扱いを受けている西暦２０００年という年が、私は気に入らないのだ。
何が気に入らないって、世間に合わせてミレニアムワインなんてものを買って何となくめでたい気分になっている自分が一番気に入らなかったりするのである。

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