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アイダホのポテトは本当に美味いのか?
神戸牛、新潟米、比内鶏、スイスチョコレート。
これらの名称は、ただ単に牛、米、鶏、チョコレートという一般名称に産地を表す
地名がくっついただけの物ではない。
たとえば神戸牛を例に挙げてみると、これは「神戸の牛ですよ。」という事を表しているだけでなく、
「あの神戸で育った牛だから、高級で美味い一級品なんだぞぉ。」という意味まで含まれてくる
のである。そう、誰もが認める価値がある、すなわちブランドなのである。
さて、それでは何故神戸で育った牛を牛と呼ばないでわざわざ神戸牛と呼ぶのか、といえば、それは
すでに高い知名度を得ているブランドとしての付加価値を利用しない手はない、というだけではなく、
名前を出しても大丈夫ですよ、という自信の表れでもあるだ。
生徒の質を測るための学力テストにおいて
無記名でも可だというのに、わざわざフルネームで自分の名前を書いて出す秀才君と同じ理由だ。
(ああ、いやらしい。)
もし、品質不良で問題になれば、
神戸の牛はヤバイらしい、という噂が広まってしまうわけである。
「旨ウマ牛」なんて名前で売り出していれば、上手く切り抜けられたかもしれないのに!!
そこを敢えて名前を出すというのはつまり、そんな事(品質不良)は起こり得ませんよ、という
意思表示でもあるのだ。
そんなわけで、神戸牛が神戸牛という名で売り出されているのには、ちゃんとした
合理的な理由が存在するのである。そして、新潟米にも、比内鶏にも、スイスチョコレートにも。
地名がくっついた食料品は、なんとなく美味しそうな気がする。
例えば、十勝牛乳、韓国キムチ、・・・。
そこの牛乳が他と比べて本当に美味しいかなんて知らん。
だが、なんとなく美味そうな気がするのである。
美味いから地名がくっつく筈が、地名が付いているから美味いだろう、という類推をしてしまう
わけである。
必要条件しか成り立っていないのに、十分条件も成り立っているのではないかと誤った推測を
してしまっているのだ。
今日、ナビ○コのチップ星を食べた。
アイダホ産のポテト使用、らしい。
「アメリカ、ロッキー山脈のふもとで豊かに育ったアイダホポテト。チップ星は、そのアイダホポテトを
使い、形をそろえてパリっと仕上げたおしゃれなポテトチップです。」
と書いてある。
まるで、アイダホのポテトが北海道のジャガイモより当然美味いかのような書き方である。
事実、そうなのかもしれない。あるいは北海道産と比べると劣るが、それでも結構美味いぞ、
という事なのかもしれない。
いずれにせよ、チップ星はそこそこ美味しいし、その味に文句があるわけではないのだが、
「アイダホポテト使用」がプラス要因であるかのような錯覚に陥ってしまっている自分に気付き、
騙されそうになる自分の理性に活を入れたのであった。
だが将来、自分が人参栽培を生業とする事になったら「○○町人参」なんて名前にするんだろうな。
ちなみに値段は一袋198円。
ふん、こざかしい。
<終>
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