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アシカショーを見る
先日、友人達と水族館に行ってきた。
入ると丁度、アシカショーが始まる所であた。
アシカが二頭とお姉さんが1人、舞台の上で待機をしている。
「みなさん、こんにちは!さぁアシカショーの始まりです!」
アシカショーを見るのは始めてではないが、愛らしい動物達
と愛らしいお姉さんが芸をするのは、見ていて楽しい
ものである。
舞台を見るとトーナメント表があり、「決勝戦」と書かれている。
いかにも勝ち上がってきた二頭の戦い(=お得)、といった感じであるが、実際は毎日3回
「決勝戦」のみをやっているのであろう。
アシカ君達の名前はカタカナ2文字であったが、忘れてしまったので、仮にポチとタマとしておく。
どうやらショーでは、いくつかの項目でどちらが優秀か競う(振りをする)らしい。
まずは頭脳対決。
「+」と「=」が予め書いてあるボードが置いてある。
まず、お姉さんは「+」の前と後ろに、それぞれ「3」と「4」のプレートを置いた。
つまり、「3+4=?」の状態である。
「タマちゃん、じゃあこの答えが書いてあるプレートを持ってきてね。」
タマちゃんは、素早く「7」の数字を持ってきた。正解である。
どうせ「3」+「4」は出来ても、「3」+「2」は出来ないのであろうが。
それでも正確に「7」を持ってこれるようになったんだから、大したものである。
だが、こうなるまでには時間がかかったんだろうと思うと、
人間(私)って実は優秀?とか思ってみたり。私なんか3+4どころか3×4だって3−4だって
出来るのである。場合によっちゃあ3÷4だって出来るかもしれないのである。
私がもしアシカだったら、天才だ!奇跡だ!と騒がれたに違いないのに!!!
私は、人間だ、というただそれだけの理由で、馬鹿扱いされているのである。
種の違いというのは、それほどまでに大きな隔たりがあるものなのだろうか。
さて、真面目にそんな事を考えている間にも、舞台上のショーは進んでいる。
「じゃあ次はポチちゃんの番。ポチちゃん、この計算は出来るかな??」
お姉さんに聞かれたポチちゃんは頭を抱えて見せた。可愛い。
「分からない?じゃあポチちゃんは簡単な問題にしてあげるね。」
1+2=?
ポチちゃんは再び頭を抱える。
「えぇ?ポチちゃんコレも分からないの??」
お姉さんに馬鹿にされて(?)うなだれるポチ。
幼い子供も見ているのに、そういう偏差値主義は良くないよ。
きっと、今のお姉さんのセリフに、算数の苦手な小学生は傷付いた事であろう。
(さんすうが出来ないと、お姉さんにモテないんだ!!!(泣))
大丈夫、顔が良ければモテるさ。
「分かった。じゃあポチちゃんには特別簡単な問題にしてあげる。」
優しいお姉さんはボードに魚を置いた。
「1匹の魚と1匹の魚、足すといくつになるかなぁ?これなら出来る?」
と、ポチちゃんは勢い良く、首を縦に振る。
「出来る?じゃあ、ポチちゃん答えを持ってきて!」
どうせポチちゃんはお姉さんが後ろを見ている内に魚を食べてしまって、その後「0」という
プレートを持ってくるのであろう。で、
「違うじゃない、ポチちゃん。仕方ないわね、じゃあもう一回ね、今度は・・・」
とボードを見ると、そこには魚が無くて、魚の数はゼロ、合ってる(等式は成り立っている)
じゃん、と。そういう流れなのだろう。
そう思いながら見ていたが、果たして、ショーはそのとおりに進んだのであった。
いや、別にコントを見に来ているわけではなくて、アシカが芸をするのを見ているのだから、
分かりやすいオチだからといって、しらけたりはしないのであるが。
ただ、いちいち心の中で突っ込みを入れたくなる性分なだけである。
ところで、アシカショーを見る度に思うのだが、アシカは何故芸をするのだろうか?
何かする度に餌を与えているところをみると、まさに、「餌でつっている」感じがする。
可愛らしく頭を抱えて見せたり、楽器を鳴らしてみたり、苦しげな声で鳴いて見せたり、
様々な芸をするが、
それもこれも食料を得る為なのであろうか?
だとすると、もしかしていつもすきっ腹なんだろうか?
それともただ単に、食いしん坊なんだろうか?
だが、彼等は魚が主食の筈である。主食は主食であって、御馳走では無いのである。
米は米であって、白いキャビアなどでは無いのである。
私だったら、米を50粒、演技する度にくれると言われたって、
他人に強制されて演技などしたくはない。だって御飯なんて毎日食べてるもん。
・・・じゃあやっぱり常時空腹?
あの、まんまるおめめのアシカ君達は、
自分達の芸を見て、家族連れや恋人達が和やかに笑っているのを見ながら、
「けっ。呑気に笑いやがってよぉ。こっちは生きるために仕方なくやってるんだよっ」
なんて思っていたりして。
だとしたら、アシカショーを見て楽しんでいる我々は、
まるで、奴隷達に強制労働させて楽しんでいる貴族みたいである。
そのうち、動物保護団体から、クレームがつくかもしれない。
でも、私としては、アシカ君達はお姉さん達と心が通じていて、
だから一緒に芸をして誉められるのが嬉しいくてやっているんだ、と思いたい。
ロマンチスト。
次は運動対決である。
平均台を渡るらしい。
割と大きな図体で、狭い平均台を渡るのは実はすごい事なのではないだろうか。
さて、今度はまず、ポチちゃんからである。
ポチちゃん、ささっと平均台を渡ると、真ん中のお立ち台の上で、倒立をして見せた。
中々奇麗なフォームである。
アシカです、私アシカなんですよ。というあの所謂アシカフォームである。
そつなく奇麗にポチちゃんの番は終わった。
さて、次にタマちゃんの番である。が、タマちゃん動こうとしない。
恐い(フリをしている)ようである。
お姉さんが説得していると、ポチちゃんがタマちゃんのところまで行って、肩をたたいた。
「頑張れよ。タマ。」
友情の力は偉大である。タマちゃんは勇気を出して、平均台を渡る事にした。見事成功。
なんだ、出来るじゃん。分かってたけど。
渡り終えて、お立ち台の上に乗ったタマちゃんは、しばらくもぞもぞしていた。
お姉さんが、
「タマちゃんは今、足場を固めています。」
と言う。
どんなオチがあるのかと思いながら見ていると、
よいしょっ
なんと右手一本で体全体を持ち上げたのである。
お〜っ!!!
思わず素直に感心してしまった。
その後、客の拍手の多さで優勝者を決めていたが、どう考えたってタマちゃんの勝ちである。
片手倒立タマちゃんに決まっているのである。
「優勝したタマちゃんには御褒美に金の輪をかけてあげましょう。」
そういって前列にいる客に投げさせた金の輪を、タマちゃんは上手に首でキャッチしていた。
そのうち知り合いを大量に引き連れて、会場を埋め、全員ポチちゃんの時にだけ拍手させて
みたいものである。果たしてポチちゃんはちゃんと輪をキャッチできるのであろうか。
エヘ、嫌な客だな。
「はい、タマちゃんも喜んでいます。」
別に笑っているようでは無かったが。
「では喜びの声を聞いてみましょう。」
オッオッオッ
「優勝してとても嬉しいといっています。」
・・・それはどうだろう。
その後、お姉さんとアシカ君達は挨拶をしてから去っていった。
アシカショーはこうやって、無事終了したのであった。
その後も、同行した友人(天才)が、水族館にいるフラミンゴを見て
「・・・え?・・・フラミンゴって、サカ・・・サカナ?」
と言ったり、
「カメの足って何本?6だっけ?4?」
と聞いてきたり、なかなか楽しい休日であった。
<終>
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