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「馬糞うに」について
ウニは大好きだ。というか、寿司ネタはみんな好きだ。だが、馬糞ウニは、そのネーミングがいただけない。
想像してみよう。
あなたはちょっとかわいい女の子だ。
あなたは「馬糞ウニ」を買おうと思った。売り場にいるのは日焼けした若い男だ。あなたは、ちょっと躊躇い、彼を呼び止める。
「あの・・・これ、欲しいんですけれども。」
なんとか馬糞という言葉を言わずに済ませようとする。お年頃の女の子が、人前で「馬の糞」だなんて言える訳ないではないか。が、しかし。
「え?どれですか?」
無情にも、店員は聞き返してくる。
確かに、水槽の中にはアワビやらサザエやら、いろいろ入っていて、「これ」ではわからない。何てことだ。しかし、ここで負けるわけにはいかない。あなたは、
「あ、えっと、ウニ、です。」
と答える。しかし、返ってきた答えは、
「どのウニですか?」
はじめからきちんと言ってしまえば良かった。どのウニかだって?
つまりあなたは今、「馬糞ウニ」という一つである筈の言葉の中で、「馬糞」の部分だけを要求されているのである。
「・・・・あ・・・あの、ムラサキウニです。」
こうして、あなたは、たかが馬の糞に負けるのである。
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