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世の中のバランス
「殻があるのがそんなに偉いのかっ?!」
もしナメクジが人間並みの知能と発声器官を持っていたのならば、
カタツムリに向かってそう叫ぶに違いない。
でんでんむしむし〜という歌もあるように、カタツムリは子供達の人気者である。
私も昔、飼っていた事がある。(あげたものー人参やキャベツ等ーと同じ色のフンを体から出す
所を見ると何だか栄養摂取効率が悪そうだなぁ、などと思ったものである。)
それに比べ、ナメクジはどちらかというと嫌われ者である。
今日も、TVの宣伝で、ナメクジを干乾びさせてしまう薬品の宣伝をしていた。なんて残酷な。
殻があるかないかだけの違いで、何故こんな酷い差別を受けなければならないのか。
(もっともナメクジとカタツムリは、同じ祖先から派生したものの、現在は全く違う種である。)
世の中は、不公平である。
「触覚がまるまってるのがそんなにカワイイのか?!」
もし蛾が人間並みの知能と発声器官を持っていたのならば、
蝶に向かってそう叫ぶに違いない。
ちょうちょ〜ちょうちょ〜という歌もあるように、蝶は子供達の人気者である。
そう、確かに蝶というと華麗で美しいイメージがある。
それに比べ、蛾というと何だか不気味で埃がたちそうなイメージである。
更に言えば、「蝶に囲まれている少女」という題の絵は恐らく奇麗であろうが、
「蛾に囲まれている少女」という題の絵は、かなり見たくない。呪われそうである。
触覚がまるまっているかいないかだけの違いで、何故こんな酷い差別を受けなければならないのか。
(もっとも私は至近距離にいる蝶は嫌いであるが。)
世の中は、不公平である。
が、しかし、世の中結構上手く出来てるじゃん。と思う時もある。
例えば、こんな時。
せんべいとチョコがひとつずつ机にのっている。
私はせんべいが食べたい。が、隣には太郎くんがいる。
私は優しいので、太郎くんに「好きな方を選んでいいよ。」と言う。
太郎くんは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チョコを取った。
そう、こんな時、世の中結構上手く出来てるじゃん。と思う。
もし太郎くんと私が、全く同じ価値観であったのならば、私はせんべいを
食べる事が出来なかったのだ。が、太郎くんはチョコを選んでくれた。
世の中うまくできてるじゃないか。
また、こんな事もある。
街を歩いていて、見た目釣り合ってないカップル。
男の方がハンサムなのに対し女がそれほどでもないカップルであったり、
逆に、女の方が美人なのに対し、男は冴えない風貌であるカップルだったりする。
勿論、人を好きになる基準は外見だけじゃない。それは性格であったり、
お金であったりもする。
が、もし人間の価値観というものが全部同じだったのならば、(場所を限定すれば、)殆どの人間は
同じ異性を好きになる筈である。
もし二年ほし組のハナコさんが、
他の女の子達よりも顔も性格も家柄も金回りも良かったら、二年ほし組の男子生徒22人中
21人は、ハナコさんの事を好きになる筈であり、同じく二年ほし組のユウコさんの事を
好きになる奴は一人もいない筈なのである。ちなみに22人中1人はケンジ君が好きである。
が、現実にはそんな事は殆ど無いのであって、ハナコさん以外を好きになる男の子だって
たくさんいるのである。それは、恐らく個人の価値観の違いの御陰なのであろう。
修学旅行恒例の、お前、誰が好きなんだよ話で、
「・・・オレはヨウコさんが好きだな。」
「え〜っ!!お前、あいつのどこが良いんだよ!(驚)」
「だって・・・カワイイじゃん(ぽっ)」
「・・・・・・。」
そう、その驚きである。こうまで価値観の違う人間がいるのか、という
純粋な驚き。
もしその違いがなければ、恋人が出来ない(結婚出来ない)
人間がもっとたくさんいる筈なのである。
それを考えると、世の中結構うまく出来てるじゃないか、と思う。
ところで、今思い出したのだが、私には今現在、恋人がいない。
世の中そこまでうまくは出来ていないようである。
<終>
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