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白と黒

白と黒、どちらがより、優れているのか。
穢れのない白も良いが、ミステリアスな黒も良い。
白猫も好きだが、黒猫も好きだ。
白い豆腐も好きだが、黒い海苔も好きだ。

・・・そんな白黒はっきりしない態度はもうやめた!
今日は白と黒どちらが優れているか、答えを導き出すべく、考察を重ねていこうと思う。


今日は会社で会議があった。会議といえば睡魔である。常に睡魔との闘いである。 例え白熱した議論が始まろうと、私の相手は変わらずソイツだ。全く、誰かに黒魔術の呪いでもかけられてるんじゃないだろうか。あまりに眠い時には、白昼夢を見そうにすらなる。それを必死に耐えてまぶたを無理に開けていると、眼球がイクラよろしく上を向き、“白目がち”になって多少ヤバい顔になってたりするわけだ。

そんなヤバイ顔になるのも、前の晩に缶チューハイ片手に良い気分になって、夜更かししてしまったからだ。が、原因の追究と原因の改善とはまた別。特に何かを学習するわけでもなく、今日も私は安売り缶チューハイ3本とブルーチーズと納豆を入れた買い物カゴを持って、レジ前で一人勝負をする。勝負に勝つともれなく満足感が付いてくる。負けるとちょっとした敗北感を味わうことになる。
勝負、とは、自分の番が早く来るレジを見分けて並ぶことができるかどうか、という非常にどうでも良いものである。ただし、このどうでも良い勝負、というか努力を恐らくたくさんの人がやっていて、だから我々の競争はますます熾烈を極めるようになるのだ。
全く。そんなだから日本人は余裕がなくてせかせかしていてチョンマゲだと言われるのだ。
どうでも良いことを考えながら、どうでも良い勝負に備え、私の目はレジの数メートル前から油断なく情報収集を始める。
あそこのレジのおばさんは買い物籠にたくさん物が入っていて時間が掛かりそうだ。
こちらのレジの女の子はまだ新人だろうか。ちょっと動作がもたついている。
今からあのレジを目指しても、あそこを歩いている人がきっと先に並んでしまうだろう。
そしてそんな色々な計算を行い並んだ結果。

・・・また黒星だ。
私の後ろから来たオバサンが並んだ列のほうが早く順番が来てしまった。

勝負に負けたとき、「黒星が付く」という。逆は勿論「白星」だ。 これは、元は相撲用語であるらしく、相撲の星取り表で勝ちを白丸で表すことが 転じて、勝負などに勝つことを、白星をとる、などというようになった。らしい。
そう、白は勝利のイメージだ。

他に白のイメージといえば、「明確、純粋、無垢、希望」
それに対し、黒のイメージは「未知、闇、虚、不安」といったところか。
付随するイメージからすると、白が一歩リードのようだ。



白か黒かで表せるほど、人の性格というのは単純なものではないと思うが、敢えて どちらかを選ぶとすれば、 私の性格を黒だと答える知人が8割以上いることは明白である。 不思議なことに、私のスマイル0円は他人に腹黒い印象を与えるらしい。
だが、私をそう評価する奴らだって、人のことは言えない筈だ。 奴らの腹(腸)の中には、解放を待つ黒ずんだ物体が鎮座しているのは間違いない。 人間誰しも、どんな済ました顔をしているヤツだって、腹の中は黒いのだ。
ただし、人間の体は不透明な肉で覆われているし、さらにその上に服を着ているから、通常腹の中の黒さというのは黙っていればバレやしない。
しかしそれがエビだとそうはいかない。体が半透明だから、腹の黒さが丸分かりだ。 いや、あれはしかし、腹ではなくて背か。背綿というくらいだしな。

もう少し、黒い物体の話を続けても良いだろうか。
あの黒い物体が、そもそも何故黒いのか、というのはなかなか興味をそそられる話である。
だって、今日の朝食は御飯と目玉焼きだったし、お昼の給食はミートスパゲティと野菜スープだった。黒いものなんてひとつも食べてないのに!!

あ、今朝、海苔食った!アレか!

なわけでは勿論ない。
では何故、入力が白(卵の白身)や黄色(卵の黄身)や橙(ミートソース)なのに出力が黒(XXX)なんだろうか。
実験をしてみればすぐ分かる。
『良い子の絵の具セット』を持っている方は、黒以外の絵の具を片端から全部混ぜ合わせてみてほしい。あなたの目の前には、全ての特徴を打ち消しあった結果である混沌とした色−黒が現れるはずだ。

さらにもう少し黒い物体の話を続けても良いだろうか。
黒い、といっても実際は黒というより茶色だ。質感まで表したければ、味噌色、と言い換えてもいい。 先ほどの話のように、全ての色を均等に混ぜると黒になるなら、ソレが茶色ということは何かが足りていないのだ。
茶色の補色は青。
思えば確かに、我々の食卓に、青色(ブルー)はほとんどない。
つまり貴方がソレを黒くしたいという欲求、もしくは黒くしなければならないという状況にもし万が一直面したならば、意識して青い色も食べればいいのである。
(ちなみに、「食べ物」が「とても食べられるとは思えない物体」に変化するまでには、粉砕、攪拌だけではなく、溶解、吸収、発酵、腐敗という過程も経ているので、実際に青いものを食べてみた結果、それが単純に黒くなるかどうかは定かではない。)

ここでちょっとお勉強。
補色とは、学問的に説明すると、色相環で、対抗位置にある色のことである。分かりやすく言うと、足すと黒(灰色)になる色のことである。赤なら水色、紫なら黄色、そして、茶なら青色。
さらには、ある色をしばらく見つめた後、白い紙に目を移動させた場合に残像として現れる色のことでもある。非常に興味深い現象だ。
実験してみたい方は、明日の朝、自宅のトイレで、今夜のご馳走の成れの果てである物体をしばらく見つめてみることをオススメする。・・・幸いそこには、補色を映し出す白い紙も用意されているであろうから。


ところで、「色」とはそもそも何なのだろう?
ある物体に色がついている、というのは、物体がその波長の光を反射しているということである。その反射光が我々の眼に入り、我々はそれが「青」だとか「赤」だとか判断を下す。
可視光領域の全ての波長を吸収するものは「黒」であり、全ての波長を反射するのが「白」である。そして、小学生の時分、実験をやったことがある人も多いだろうが、虫眼鏡で太陽光を集め、黒い虫にあてると、面白いように燃え始める・・・いや、黒い紙だったか。
黒は光を吸収する、つまり、熱を吸収するのだ。
寒い季節になると、街を行く人は黒い服が多くなるが、それは理に適っているのであろう。
ただし、寒いところにいる人種は比較的白くて、暑いところにいる赤道付近の人種は比較的黒い。熱吸収率を考えると、寧ろ逆のほうが良いのではないか、と思うのだが、それはまた別の話らしい。
紫外線は細胞にとって有害であるが、黒いメラニン色素で肌を覆うことにより、その紫外線を肌到達前に吸収してしまおう、ということらしい。・・・やはり反射してくれたほうが有難い様な気がするのだが。
・・・いや待てよ?
仮に灼熱の大地で住む人々が光を反射する白い肌であったとする。
その場合、反射された光はどこに行くのだ?
誰かの輝く白い肌が反射した光は、別の誰かの元へと向かい、そしてさらにそれも反射され、さらに別の誰かの肌へと直撃する。
人が多いところでは無限ループになってしまう!!
その暗黒の悪夢を防ぐために、誰もが少しずつ犠牲を払ってよりよい世界にしようという、助け合いの精神が、メラニンという色素を作り出したに違いない!

・・・閑話休題。
黒は熱を集める。
ということはだ。
道端に転がっている犬のフンも、茶色っぽいやつよりは黒っぽいやつの方が、暖かいのかしらん。
暖かい→水分が蒸発しやすい→それがこちらに漂ってきやすい
黒いフンには注意しなくてはなるまい。

先日、そんなことを考えていたら、電車を乗り過ごしていた。(実話)
・・・あまり下らない話を続けていると、人から白い目で見られるので、この辺で話を終えようと思う。




・・・白状すると、話を終えるのは、人から白い目で見られるからではなくて、もうネタギレで、頭の中が真っ白だからだ。
「白と黒どちらが優れているか、答えを導き出すべく、考察を重ねていこうと思う。」と、冒頭で宣言したが、考察も何もしていない、非常に曖昧な灰色状態になってしまった。ちょっと情けなくて、全て白紙に戻したいような気もするが、やっぱりそれも面倒なので、これで良いことにする。




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------おまけ----------------------------------------------------------

取調室にて。

「俺は何も知らねーよ。証拠でもあんの?俺は潔白よ。」
白けたような顔で欠伸をする容疑者X。
白々しい嘘を付くな!」
机を勢いよく叩く刑事A。その迫力にビビって蒼白になる容疑者X。
まぁまぁ、とそれを宥めて、容疑者Xの肩に手を置くのはその福々しい風貌から「大黒様」との渾名を付けられている刑事B。
「腹減っただろ。カツどんでも食うか?」
典型的な飴と鞭作戦。
こいつがクロであることは明白なのだ。あとは「おとす」のみ。
(中略)
「で・・・お前が黒幕だな?」
カツどんを食べながら、急に嗚咽を漏らす容疑者X。
「おれは・・・おれは・・・」
白い米粒と一緒にXの口から零れ落ちる自白
こうして罪は白日のもとにさらされたのであった。

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