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フランス旅行記

4月中旬、フランスに旅行に行ってきた。
4泊6日のツアー。同行者はK1人。ただし、ツアー自体の参加人数は30名以上の大所帯である。
おふらんす。
ぼんじゅーる。

<1日目>
5:10 起床@自宅
昨日結局解決しなかった仕事についてはとりあえず忘れ、旅行中一切思い出すまい、と心に決める。

●成田
今回利用する飛行機会社はJALである。
唐突だが私はJAL納豆(ドライ納豆)が大好きである。 私が何を好きでも嫌いでも大半の人は興味がないと思うが、以前、JAL納豆が好きだと言った私の言葉を覚えていて、お土産にそれを買ってきてくれた会社の同期がいたので、それ以降私は自分が何を好きなのかを事あるごとに主張することにしている。 人間こういう地道な努力が大切なのである。 運が良ければ、そのうち誰かがカラスミやアワビを私にお土産でくれることもあるだろう。・・・あと、タコわさびも好きだ。

飛行機に搭乗、発進。
今回は映画を見まくることに決めていた。最近の長距離用飛行機はエコノミークラスにも個人TVがついているのである。 早速、番組表をチェック。
オーシャンンズ12にアビエイター。ブリジットジョーンズの日記もある。 それから宮部みゆき原作のドラマ「理由」。
かたっぱしから見ることにする。

・・実はアビエイターはほぼ寝ていた。覚えているのは飛行機が墜落するシーンくらいだ。オーシャンズ12も、飛行機の走行雑音で吹き替えの台詞が聞き辛く、あまり内容がよく理解できなかった。
が、重要なのは質ではなく量である(断言)。
言い換えれば、重要なのは「どれだけ楽しめたか」ではなく、「いくら分得した気分になれたか」である。1本1500円で計算すると、3本=4500円。 その点から見れば、目標達成と言えよう。

ところで、これから行く国、フランスってどこにあるんだっけ。
スペインの隣だっけなぁ?・・・あれ、それはポルトガルか?
まぁいい。そんな細かい地理に捉われていては、本質を理解することは出来ぬ。
フランスはフランスだ、日本語は通じない。それさえ理解していれば、万事OKである。

●フランス到着
さて、そんなこんなで無事おふらんすに到着。
おふらんすの空気。おふらんすの道。おふらんすの美男美女。どこもかしこもおふらんすで満ちている。おふらんすの気温はコート着て丁度良いくらい。日本より少し寒い。
空港で夜食を購入。フランスで初めての買い物はベルギーワッフル。
一路、ルーアンへ。

●ルーアン
数時間後、ホテルに到着。
本日は眠るだけである。あでゅー。
ところで、「あでゅー(Adieu)」とは「バイバイ」という意味かと思っていたら、実は「永遠の別れ/今生の別れ」という意味であるということを、先日、会社の人から聞いた。それから、その人が帰るときには、「お疲れ様」の代わりに「あでゅー」と言うことにしている。

話はフランスへと戻る。
部屋に入り、とりあえずTVを付けてみた。
チャンネルをカチャカチャやってみたが、どれもこれもフランス語でワケわからん。 結局、言葉の要らないアニマル系チャネルで落ち着いた。
お湯を沸かして備え付けのコーヒーを飲んでいる間、TVの中ではナマケモノがアナコンダに丸呑みされていた。

1日目深夜
4:00に起き出してトイレにてメモをつける。
そういえば、それまで見ていた夢で、私は英語(らしきものを)話していた。
「フランスはフランスだ、日本語は通じない。」と、自分に言い聞かせすぎた影響か。
再び眠る。

<2日目>
6:00起床。
6:30から朝食、8:00出発。
こうやって、分刻みで行動が決められているというのが、何というか、学生時代の遠足が思い出されて・・・思い出されはするが別に特に付随する感情はない。
ということは、このフランス旅行も、数年も経てば、同じように無感動に思い出す日が来るのかもしれない。この楽しさを忘れてしまうのかもしれない。
そう考えると少し切ないような気もしたが、その切ない気分も数分後には忘れていた。

●ルーアン市内(ノートルダム寺院)
ルーアン市内に到着。
ジャンヌダルクの像などを見る。
それから街を歩いてルーアンのノートルダム寺院に着く。
入り口に「お恵みを・・」の若者がいてちょっとビビった。
寺院内部のステンドグラスは、まぁ普通だった。

寒い所為か、トイレに行きたくなる。幸い、寺院の前にはトイレがあるようだ。
海外(ヨーロッパ?)でトイレといえばチップと切り離せない関係にある。
公衆トイレが、無料ではないのである。け、セコいな。
が、そこのトイレの看板にはFreeと書かれている。
Free・・・タダか。と、入ってみたら、おトイレおじさんがいる!!!!

出たな!トイレ係めっ!

もっとも、実際に「出た」のは私のほうである。思わぬ伏兵に動揺し、とりあえず トイレから緊急撤退したのであった。 それから、ガイドさんに確認をとって、20セントコインを握り締め、いざ、再びトイレへ。
ちょっぴりどきどきしながら用を足し、さらにどきどきしながらおじさんの前にコインを置いてトイレの外へ脱出。
何故たかがトイレでこんなに神経をつかわねばらならないのだ。
憤慨する私の前を、鳩が数羽、トコトコと暢気に横切った。
全く、鳩どもは、気が向いた時に気が向いたところでフンをぽこぽこ落としているというのに、私は己が人間だというそれだけの理由で、限られた場所(トイレ)で条件付で(金を払って)用を足さなければならないというのか!なんて理不尽なんだろう。
たかが20セント〜50セント(30円〜80円)程度のお金だが、どうも監視者がいるところを横切ってトイレに入って、出る時に小銭をおく、という一連の作業が苦痛に感じられたので、その後は極力チップトイレは使用しないよう、努めた。
朝出発前には必ずホテルでトイレを済ませ、食事時にも必ずトイレを済ませ(流石に店内トイレはタダだから)、観光地では無理のない範囲で我慢する。
だから、全体を通して、「人間は排泄する生物である」という現実を改めて実感したツアーであった。

●モンサンミッシェル
バスにてモンサンミッシェルへ。
このツアーに来る前には、モンサンミッシェルなんて地名、聞いたこともなかったが、どうやら世界遺産に登録されたらしい。
バスの車窓から放牧されている牛の風景をとったら、モンサンミッシェルが映ってた。
それが私とモンサンミッシェルの感動的な出会いの瞬間である。
開けた土地に、パーツを寄せ集めたような寺院が聳え立つ風景は、確かになかなか素敵であった。

ここでモンサンミッシェルについて簡単な説明を少々。
どっかの神父さんが夢で、ミカエルのお告げを聞いて建てたものらしい。今の時代なら、夢で神様のお告げを聞いたからという理由で寺を建てたりしたら、なんというか、ちょっと、ひく。
ところで添乗員さんの話だと、ミカエルは、ガブリエル、ラファエルと並んで3大天使というらしい。おかしい、この間やったゲームでは、ボスキャラ(敵)でもうひとり、ウリエルとかいう大天使も出てきたような・・・。 帰国後調べてみたところ、ウリエルを入れて4大天使ということもある、ということであるらしい。ふふん、人生に何の役にもたたなさそうなゲームだって、こんな思いも寄らぬところで貢献する時があるのだ。

●昼食
モンサンミッシェル到着、前に、モンサンミッシェル名物のオムレツを昼食に食べることとなる。
ツアー客約30名が予約席に固まって座る。 私が座ったのは、12人がけテーブルの片側6人の左から3人目である。 不味くはないと思うが決して美味くはない酢漬けサラダが左端の人から順に出された後、何故か左端から二人、右端から三人の順で「名物オムレツ」が出された。 そのまま、私だけ来ない状態で、他の机にサーブされはじめる。
オイ出す順番おかしいダロ。
大人しく待っていたら、ようやく店のオバちゃんが、一人分の皿だけ持って厨房から出てきた。きたきた。ようやく来たか。



おいちょっと待て。



明らかに、私の目の前に出された物体は、他の人のそれとは違う。
<証拠写真1:同行者Kの皿> <証拠写真2:私の皿>
確かにオムレツのようではあるが、どう見ても形崩れているし、焦げ焦げダ!
そして、それを補うつもりなのか、量だけは2倍くらいあるのだが・・・。

おかしな順番で出されたところに、非常に作為的なものを感じるわけである。 つまり、クレームもののその皿を出すのに、「クレームつけなさそうな穏やか顔」である私に狙いを定めたに違いない。
ああそうですよ、どうせ私は外国でクレームのひとつもつけられないような弱気な小市民ですよ。そんな私にぴったり狙いを定めたオバちゃんの眼力に、悔しいけれど、乾杯。完敗。
問題の味のほうだが、さすが名物だ、ただのオムレツとは一味違った、焦げたオムレツの味がした。

もそもそと食べ終わり(半分以上残したが)、いざモンサンミッシェルへ。
坂道を登って、城の中へと入る。
一言で言うと、「まぁ遠くから眺めるほうが良いな。」
毛穴の汚い美人みたいなもんである。

帰りはひたすら トゥールに向け、バスにて移動。
牛やら羊やらが、道の横の牧場にいっぱい蠢いているのが楽しくて、ずっと外を見ていたのだが、図らずも、2回も交尾シーンをみてしまった。 ・・まぁ聖書にも、「産めよ増やせよ地に満てよ」ってあったしな。流石キリスト教の国である。
途中、物凄く綺麗な虹を見た。

夕食は到着したホテルにて、魚料理がメイン。
前菜として、モッツァレラチーズが上に乗ったトマトが出てきた。
最初に同行者Kの皿が出てきたのだが、トマトがオレンジ色で、見た目的にはパプリカに近いようだ。
「こっちはトマトも日本とは違うのかな?」とKは言っていたが、後から来た他の人の皿の上のトマトは、普通に赤かった。

<3日目>
●古城巡り
3日目は古城巡りだ。
本日もこんな感じで元気に団体出発だ。
シュノンソー城とかブロワ城だとかいう城をいくつかまわって一日が終わるコースである。いくつかは外観のみ、いくつかは実際に入ることが出来た。 それぞれ、なかなか美しい城であった。
シンデレラ城の本物版って感じだ。 こんなんとか こんなんとか こんなんとか
こういう「視覚で」のみ楽しむものというのは、何となく自分の感受性を試されている気がするのは、被害妄想気味なんだろうか。肉が美味かった、温泉が気持ちよかった、そういったことなら、自信を持って「楽しかった」と言えるのだが。
ところで、シュノンソー城には実際に入ってみたのだが、あんなに部屋数は多いのに、トイレが見当たらなかった。見当たらなかっただけで、本当はあったのだろうか?それとも、本当に、そういう設備はなかったのであろうか?あの当時はどうしていたのだろう。 そんな疑問を残したまま、午前の城巡りはこれで終了した。

●昼食
昼食はナントカ駅についてる食堂で。現地の夫婦が食べている空間に、我々日本人ツアー客30数名がどかどかと入っていったわけである。
「げ」と言いそうな顔で一瞬こちらを見遣る夫婦。
「あ、私は違いますっ!」
全く違くはないのに、ついつい何かに対し言い訳したくなる自分が恨めしい。
料理の内容はカレー風味の鶏肉とマカロニ。非常に普通な味がした。

●シャルトル大聖堂
午後はシャルトル大聖堂立派なステンドグラスを見る。
天気はイマイチで、だからなのか、ステンドグラスも微妙だった。
曇りの日のステンドグラスは、マスタードのついていないソーセージだ。 もしくは動物園の寝ているライオンだ。
綺麗は綺麗なのだが、「天気が良かったらもっと綺麗だっただろうになぁ・・」という ほぼ確実な事実が予想がついて、出る時にちょっと残尿感。
・・・なんだか、いちいち「トイレネタ」になってしまうのは、自由にならないトイレへのストレスが、常に頭の片隅にあるからなのだろうか。

大聖堂のステンドグラスは微妙だったが、その裏にある隠れた広場はなかなか素晴らしかった。
見学後、バスにて最後の地、パリへと向かう。

●夕食(パリ)
夕食は到着したパリ市外のホテルにて鴨料理。
一人につき鴨のモモ肉がひとつ。
ツアー全体で30人とすると、15羽の鴨さんがお亡くなりになったわけである。
ちなみに前に座った同じツアーの女の子のモモ肉には羽根がついていて、彼女は気持ち悪がってほとんど鴨肉に手をつけていなかった。 私自身も小食かつ食べ方が下手なため、かなり食い散らかし状態で終わっていた。 15羽分の鴨の魂が、恨めしそうにそのへんを漂っているような気がした。
そういえば、シュノンソー城にいたな、

<4日目>
●パリ
自由の女神を横目に、セーヌ川沿いをバスで走り、まずはエッフェル塔から始まりである。

●エッフェル塔
確か東京タワーはエッフェル塔の真似だったと思うが、東京タワーをみて 格別感動した覚えはない。 だから、エッフェル塔を見て感動してしまったら、ちょっと公平さに欠けるじゃないか。持ち前の歪んだ正義感と弱い視力が私の目を多少曇らせたが、結論から言えば、エッフェル塔の眺めはそう悪くはなかった。 なんといっても、その周辺が開けているのが良い。 本当は遠近感を利用して、「エッフェル塔に抱きつく人の絵」という題で写真を撮りたかったが、照れ屋な私はカメラに向かってぎこちなく微笑んだだけで終わった。

●ルーブル美術館
それからルーブル美術館に向かって出発。
途中、シャンゼリゼ通りとかコンコルド広場だとか、目ぼしいポイントを添乗員さんのガイド付きでバスにて通過。添乗員さんには悪いが、基本的に車窓からの風景は処理速度が追いつかないため、あまり記憶に残らない。

ルーブル着。
ニケだとかミロのヴィーナスだとかモナリザだとかをぱぱぱぱぱぱっと物凄い速さでガイドさんに連れられて見回った。隙を見てはデジカメでピピッと撮影する観光客達。自称カメラ嫌いであることも忘れ、私もつられて、いたるところでシャッターを押した。 しかし、どうしていろんな美術品がフラッシュ撮影までOKなのか・・(どうやら本当はOKではないらしいが)。
あまりの開放的な雰囲気に、どの程度の美術品が本物なのか、ちょっと気になった。 まぁでも、一観光客としては、作品の真偽の程はどうだっていい。見分けがつかなければ、それは本物と同義だ。本物を見た気になれれば、それで満足だ。 特に、ミロのヴィーナスの「後姿」をカメラに収めた時は、ちょっと形容しがたい満足感に溜息が出た。

ところでこのツアーでは、参加者にイヤホンガイドが配られている。添乗員さんが声を張り上げなくても、全員に無線で声が伝わるわけである。原始的だがかなりの優れもの。 ただし、美術館内では同じ周波数帯を使っている別グループが近くにいて、混線が酷かったのが、ちょっと面白かった。
この「イヤホンガイド」。当たり前だが一方通行である。
ルーブルでの見学終了時、トイレ時間が設けられた。
トイレに行けるときは行っておけ。
これが私がフランスで学んだ数少ない教訓のうちのひとつだ。だから私はこの時もトイレへと向かったわけである。 そしてトイレ内にて用を足している時、イヤホンガイドから聞こえてくるガイドさんの声。

「はーい、全員いますかー?1,2,3・・・」

その時の私の可哀想な心境を、誰か察してください。


●ノートルダム寺院
次に着いたのはシテ島にあるノートルダム寺院
シャルトル大聖堂の時と違い、天気はやや晴れである。従って、ステンドグラスは大変美しかった。丁度ミサの途中であり、聖歌隊とパイプオルガンの演奏が聞けたので、感激も2割り増し。酔っていれば、さぞかし神々しい雰囲気を味わえたに違いない。

●昼食
昼食はエスカルゴ
緑の濃いソース(バジル)に、薄暗い照明。
正しい、と思う。
だって確かにエスカルゴの触覚とか見えたら嫌だものな。
大丈夫大丈夫、これはカタツムリじゃなくてアワビの友達だ。そういうことにしておこう。
ちなみにエスカルゴは一人当たり6匹。前夜の鴨に続き計算してみると、30人ツアーで 180匹のエスカルゴが人の血となり肉となったわけである。

●ヴェルサイユ宮殿
無事昼食の試練も乗り越え(普通に美味かったが)、午後はヴェルサイユ宮殿だ。
ヴェルサイユ宮殿というと、一般的日本人としては「ヴェルサイユの薔薇」という古典漫画を思い出さないわけにはいかないが、私は生憎今まで読む機会がなかったため、「ヴェルサイユの薔薇」と「ガラスの仮面」は別の漫画だということに気付いたのは、比較的最近の話である。

宮殿内は素晴らしい絵や家具がたくさんで、もう食傷気味である。(我ながら酷い感想だ。)
ただし、宮殿の外の庭は、文句なしに素晴らしかった。天気も晴れ、気分が良い。 陳腐な表現だが、一枚の完成された絵を見ているような感じだった。 やはりこういう体感型アトラクションは、視覚のみに頼るそれよりも、直截訴えかけてくるものがある。
だが、そんな素晴らしい庭も、ガイドさんの後ろを鎖でつながれた羊よろしくぞろぞろと歩くだけ。 午前中のルーブル美術館に続き、こちらも流れ作業のごとく完了。
それぞれ1日コースだったら良かったのに。
まぁ腹八分目という言葉もある。惜しいくらいが丁度良いのかもしれない。
そんな感じで 4日目の観光も終了。

●夕食(ディナークルーズ)
夕食はちょっと奮発して、同行者Kとセーヌ川ディナークルーズに参加。
フランスに来て、初めての豪華料理である。
夜景も綺麗だし、生演奏と歌をBGMに、シャンパンから始まって、赤ワインに白ワイン。
個人的には食後のチーズがたまらなく美味しかった。
かなり良い気分で、フランス最後の夜が終了。まぁ酒があれば、基本的に良い気分である。

<5日目>
●フリータイム
最終日はフリータイム。
フランスといえば、ヴィトンにエルメス、その他もろもろ。 ここで「その他もろもろ」というのは、他に名前が出てこない、ということを示唆している。
そんな私であるから、フリータイムの過ごし方は“買い物以外”。 Kと二人でパリ散策へとしゃれこむ。まずは凱旋門へ。

市外にあるホテルから街の中心に出るには、各自地下鉄に乗っていかなくてはならない。
とりあえず最寄り駅まで歩いていったが、おふらんすはお犬のおフンで満ち満ちていた。どうやらあまり飼い犬のフンを回収する文化がない模様。おふらんすなのに。
切符を買って改札へ。そして、やってきた電車に乗り込む。ちょっと緊張。 添乗員さんは「フランスの地下鉄は盗難が危ないので、現地の人でも居眠りをしない」と言っていたが、本当だろうか。私はフランスでは生きていけないということなのだろうか。まぁどのみち日本語が通じない上に公衆トイレにチップが必要な国では、私は生きていけない−小心者だから。 小心者らしく、まわりが全員スリであっても大丈夫なように鞄をしっかり抱えてきょろきょろしていたが、無事、凱旋門近くの駅まで辿り着く。
地上に出て、近くに見えた凱旋門へ向かって歩き出す。
流石にパリも中心地に来ると、フンもなく、町全体が芸術である。日本でこれに対抗出来るのは、京都くらいなものか。

●凱旋門
凱旋門では、数百段ある螺旋階段を登ってパリの景色を堪能した。 凱旋門から放射状に、直線の道が何本か出ている。ちょっとだけ何かの中心に来た感じで、気分が良い。ははは、下界の者共、もっと広い世界を見たまえ。 しばし似非貴族の気分を楽しんだ後、螺旋階段を下っていく。 下界の者共の一員に逆戻りである。

●セーヌ川沿い散策
それから、シャンゼリゼ通りをテクテクと歩き、コンコルド広場だとかセーヌ川だとかを散策( 写真1 写真2 写真3 写真4 写真5) 。
チュイルリー公園では途中、鳩に餌をやった。私は海外に行ったときには必ず動物に餌をやることを自らに課しているので、これでようやくノルマ達成である。
それから昨日行ったルーブル美術館も通り過ぎ、ひたすら歩き続け・・・。
とうとうノートルダム寺院のあるシテ島まで辿り着いた。 このツアーでこんなにひたすら歩いた人は、他にいないに違いない。 せっかくなので、ノートルダム寺院をもう一度見学することにする。
そういえば、ノートルダム寺院のそばでは、車に轢かれてつぶれた可哀想な鳩を発見した。きっと、フンをするときにチップを払わなかった罰である。 鳥好きの私としてはちょっと悲しかったが、仕方あるまい。あでゅー。
・・・鳩の死体といえば、イタリアのヴェネチアに行ったときも、時計台のへりに上向きにたっている鳩よけの針金にささって死んでいる鳩を見つけたっけ。 私は海外旅行をする度に、鳩の死骸を見つける運命にあるのかもしれない。

そんなこんなで、もう集合場所のホテルに帰らねばならない時間となる。
途中、駅まで行くのに迷って、向こうから歩いてくる無害そうなパリジャンに
「Do you speak English?」
と聞いたはいいが、自らの英語聞き取り能力の不足の所為で、返答の英語が分からなかった。それでも、地図を出して、「ここ、ここ!」と指差せば、なんとなく通じるものだ。無事、駅まで到着して、かなりギリギリの時間にホテルに辿り着いた。

●空港(パリ)
それからツアー御一行様と、バスにて空港へ。これでフランスともサヨナラだ。
そうと決まればとっとと帰国したいところだが、空港にて2時間あまりの長い休憩時間。 義理土産を買うための時間である。私は既に義理土産を揃えていたため、特に改めて買う必要もなかったのだが、売り場をうろついているうちに、親への土産でチーズでも買っていこうか、という気になった。
最近ハマっている「ブリーチーズ」(8ユーロ強=\1200くらいか)を買うことにする。

ようやく時間になり、帰りの飛行機に乗り込む。
再び日本まで十時間あまりの長旅だ。また映画を見ていこう、と考える。 ・・・が、番組表を開いてみたら、行きの飛行機で頑張りすぎて、目ぼしい映画は全部見てしまっていたことに、その時気付いた。結局寝ていくことにする。


<そして、わが祖国、日本へ>
特に問題もなく、無事、日本に帰ってきた。
公衆トイレがタダで、白いお米が美味しい日本に帰ってきた。
日本語の標識に沿って、日本語のアナウンスを車中で聞いて、帰宅。
自宅に辿り着くと、ほっとする。
そのまま休んでしまいたいところだが、とりあえず、洗濯物と食料だけはどうにかせねばなるまい。使用済みシャツとか使用済み靴下とかを洗濯機に放り込み、チーズを入れておいた袋をあけて中身を冷蔵庫に・・・。


・・・。


なんだこの匂いは。
形容しがたいが、分かりやすく言えば、「とても食べ物とは思えない」臭さである。
無論、ブリーチーズ(8ユーロ強)はゴミ箱行きである。
・・・特に寄り道したわけでもないのに、こんな、すぐ腐るような物体、空港の免税店で売るなよ・・・。


最終的に、そんな臭い出来事で、私のフランス旅行は終わりを迎えたわけであるが、全体を通して、まぁ十分楽しんだと思う。
芸術の国、フランス。機会とお金と気力があれば、また行ってみたい。

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