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GODIVA
その昔はGODIVAとGUCCHIのどちらが食べ物かも知らなかった私だが、
今ではほぼ100%、その違いを見分けることが出来るようになった。
GODIVAは食べられる。GUCCHIは食べられない。
まぁそれだけ理解していれば知的文化人としての生活を営むにあたり十分なのだが、私は更なる情報を手に入れた。
"ゴディバはチョコレートブランド"なのである。
ブランドの名に恥じない上品な味と共に、
ブランドの名に恥じない理不尽な高値が付けられている。
ホームページによると、オートクチュール感覚のチョコレート、であるらしい。
「オートクチュール感覚である」ということはすなわち、オートクチュールではない、ということを意味する。それにしては高い。
この美味しくて高いGODIVAにまつわる話を、今回とりあげてみようと思う。
先日、会社の先輩が配置転換になった。そこで、本音が邪魔して
態度で表すことができない感謝の気持ちを、代わりに物で表そうということで、
3000円相当の品物を、下っ端である私が買いに行くことになった。
こういう時、何を選ぶか、ということについては、多少気を遣うものだ。
自分のセンスと品性が問われるからである。
少数精鋭でいくか、奇抜な発想で攻めるか、それとも無難な路線でいくか。
※評価予想
少数精鋭: 全体的にそこそこ評価は良いが、合わない人には不評
(評価5:3人 評価3:2人 評価1:1人)
奇抜な発想: 一部のマニアには評価が高い。
(評価10:2人 評価1:4人)
無難路線: 可もなく不可もなく、まさに無難。
(評価4:1人 評価3:5人)
無数に枝分かれしている人生。今も私はその分岐路に立っているのだ!!
無論、自分の心の赴くままに選べば、1000と書かれた紙三枚はセンスも品性も申し分ない素晴らしい品へと交換される筈である。
だがしかし、ここで問題なのが、私の申し分ないセンスや品性が必ずしも世間一般のそれと一致しているわけではない、という事実である。
だから結局私は、知恵の輪だとかガムボールマシンだとかに惹かれがちな自分の衝動を抑えて世間一般の目で品物を選ばなくてはいけなくなるのである。
さて、デパートに到着した私は、とりあえずその辺を2周する。
あれにしようかこれにしようか。
『自分の衝動』と『世間一般の目』の間で揺れながら散々悩んだ挙句、
「なんで私が人のためにこんな悩まねばならんのだ。」
疲労が私を安易な妥協へと導き、結局最も無難なお菓子売り場に落ち着く。
・・実はこの、「迷う」→「疲れる」→「妥協する」という流れは、いつものコースである。
さらには選ぶお菓子までいつも決まっていて、ヨックモックのクッキー詰め合わせだ。
(これは美味しいし、値段と包装に包んだ後の箱の大きさ(笑)のつりあいが割とよく取れていて、本当に無難な製品なのだ。)
が、今回の私はちょっと違った。
いつもいつもヨックモックじゃつまらない。
そうだ、先輩は確かチョコ好き。じゃあチョコにしてやろう、有難く思え!
面倒になっただけなのに、何故か恩着せがましい思考でチョコを買うことに決定。
で、目をつけたのがゴディバだったというわけである。
ゴディバなら少数精鋭作戦だ。私のセンスに対する評価も悪くはならないだろう。
大切なのは、何を選べば相手が喜んでくれるか、ではない。何を選べば、私のセンスのよさを周りの者に見せ付けることが出来るか、である。
ショーウィンドウを覗く。
ぱっと見で・・・高い。一粒で420円もする。
少数精鋭でいこうと決めたのに、その値札に怯んでしまう私。
あまりに高いのでちょっとドギマギし、店員に話しかけられないように「通り過ぎながら横目でちらちら作戦」を繰り返し、予算に合うパッケージがないか調査をする。
なになに・・。
オリジナルコレクション 15粒入 税込 3,150円 (本体価格 3,000円)
トリュフアソートメント 10粒入 税込 3,150円 (本体価格 3,000円)
予算的にはこんなところだ。やはり、数の割りに高い。
自分用にそのチョコを買うことは、決して無いであろう。
どのくらいありえないかと言うと、一度の歯磨きで、真新しい歯磨き粉を全部使い切るくらいありえない。
が、今回は他人用で、しかも7分の6は他人の金。
買っちまうか!?
・・・でも、ハイ、と渡したときに、この大きさだと少し寂しいような気もする。
感謝の気持ちの小ささが表れてしまっているようで、なんだか後ろめたい気もする。
うーん。
で、結局、私が選んだ品が、これである。
ゴディバのオリジナルコレクション 8粒入 税込 1,575円 (本体価格 1,500円)
+
モロゾフのゼリー 9個入 税込\1,575円 (本体価格 1,500円)
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計 3,150円
嫌らしく計算して少数精鋭路線を試みた割りに、質、量ともに、なんとも中途半端な無難路線セットとなってしまったのであった。
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