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まぁさんの木

 まぁさんとは、図書館の横に生えている木の名前だ。どうしてそう呼ばれるようになったかは、もう誰も覚えていないのだけれど、とにかく子供達はその木を「まぁさん」と呼んで、木登りをしたり待ち合わせ場所にしたりして親しんでいました。
 そんなある日、川の向こうから桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきて、子供が生まれました。その子はいつしか立派な若者となって、桃太郎侍という名で呼ばれるようになりました。部下には比較的恵まれましたが、キジだけは最後まで桃太郎に完全に懐きはしませんでした。いつの時代も上司と部下の間には、埋められない溝があるのですね。
 さて、では金太郎がどうだったのかというと、実は熊に負けて、富士山に逃げ込んでいたということです。富士山はとても高くて、そういう意味では逃げたのも正解だったのかもしれません。

 こうして、まぁさんの木は、形を変えても子供達と仲良く暮らしましたとさ。
 めでたし、めでたし。                              <完>

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