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知人の結婚式@神戸
先日、元の会社の同期の結婚式に呼ばれ、神戸に行ってきた。
結婚式、というものに対し、いろいろと思うところはあるが、
万が一知人にこのHPを見られたときのため、思うところは書かないでおこうと思う。
まぁめでたいとか喜ばしいとか、その類のつまらぬことである。
さて、神戸である。
生粋の関東人としては、ちょっとばかし遠い場所だ。
神戸は実は兵庫県なのだ、とか、兵庫より広島のほうが遠いのだ、とか、
そういうことで驚ける都会人の私にとって、
神戸はドイツより行く可能性の低い土地であった。
だが可能性とは飽くまで可能性でしかないわけで、「神戸の結婚式に呼ばれる」などという、私の人生設計に含まれていない偶発的な事件も時々は起こるのである。
は?神戸で結婚式?
面倒だとか金がかかるとか休み明けだるいとか、勿論友人の結婚式に対してそんな失礼なことを考えたりはしない、というかこの私がするわけはないのだが、でもまぁあれだ。
喜んで積極的に参加したいかと問われて勢い良く首を縦に振ったらなんとなく嘘をついたような後ろめたさを感じる程度には、アレだ。アレ。
だが呼ばれたら行かないわけにはいくまい。予定表が真っ白ならなおのこと。
結婚式は土曜。前日から神戸入りすることにする。
事前に調べて良いホテルを見つけて予約していったのだが、仕事が終わってから出発し、着いたら既に深夜12時近くだった。ついつい宿泊料金を滞在時間で割って計算してしまうあたり、我ながら徹底した庶民である。
ひとりのホテル。とくれば、飲まないわけにはいかない。独り飲み最高!
勿論飲むのはコンビニで仕入れていたアルコール。
部屋そなえつけの冷蔵庫に入っているアルコールは、色々な意味で怖いので手を出せない。
翌日のチェックアウトの時に余計なやりとりが増えるのではないかという恐怖感が手を出さない主な理由だが、
開閉自由な冷蔵庫の中の瓶など、何が入っているか分からないという漠然とした不安もある。
実際、冷蔵庫の中のビール瓶全部に水が入っているのを見つけたこともあるが、あれには流石に驚いた(←犯罪です)。
というわけでさっとシャワーを浴びてからコンビニで購入したアルコールを飲み、良い気分で就寝したのであった。
明日は早起きして8時にはチェックアウトして結婚式前に軽く神戸観光しよう。
起きたら9時だった。
これでは大した観光は出来ない。まぁ自業自得か。私も時には反省するのである。
仕方が無いので、式場近くの異人館でも寄ってみるかと考えた。
ゆっくりと支度をして、10時にチェックアウトし、荷物を持って元気に出発。
異人館ー私などは何となく宇宙人を想像してしまうのだが、ここで「異人」とは「外国人」程度の意味であるらしい。赤い靴を履いていた女の子を拉致していった人達のことだろうか。知らないけれど。
地図を見て方向を確認。
とりあえずは駅まで行けば良いのだな。
結婚式で着る服や着替えも入った重い荷物を肩に掛け、颯爽と歩くこと約15分。三宮駅に到着。
さて、ここからどういけば良いのか。再度地図を確認。
・・・。
地図を180度まわして再確認。
・・・・・・・。
5分ほど地図をぐるぐるとまわした結果出た結論。
最初の一歩から180度間違えていた。
まぁありがちな話である。
他にどうしようもないのでホテルの方角に向かって引き返した。
しかし、いざ異人館の前辺りまで来てみると、修学旅行生がワサッといるし入り口も仕組みもよく分からないし、どうにも気が引けた。
かといって買うつもりの無い土産物屋をひやかす度胸もないし、じっと立ち止まっていると不審人物っぽいし、いやでも同じ場所をいったりきたりするのもなお怪しいかも。
そんな小心者の代表のような葛藤をしながら辺りを意味無くうろうろしていたら、やはり結婚式に呼ばれていた元同期と出くわした。
それでその辺の店に入ってコーヒーを飲んだら時間になった。
どんな時でも時間は過ぎる−−私の座右の銘である。
結婚式が始まる。
料理が美味い。
前菜、スープに神戸牛、ガチョウの肝臓。メタボリック症候群。
適切なタイミングで拍手して適切なタイミングで笑って、新郎新婦にアクションがある度にカメラのシャッターを切る必要はあるが、美味い物を食べに遥々神戸まで来たのだということにすれば、結婚式もそう悪くはない。
・・・いや別に料理が不味くたってめでたいことには変わりないしもう呼んで頂けるなら喜んで出席しますけれどね当たり前じゃないですかハハハハ。
そんなこんなで友人の結婚式も終わり、出なきゃまずいかなぁ、どうかなぁ、でもまぁ迷った時は出ておけば間違いないよな、という社会人的思考から出席すると返事をしてしまった二次会も終わり、無事強制参加イベントの全工程が終了したのであった。
二次会会場を出ると外は既に真っ暗。
神戸の夜景は100万ドルだという。
懐中電灯を持って街中に立ったら、私にも100ドル位の価値は付くのだろうか。
それとも100万ドルというのは、価値ではなくて維持費にそれだけかかるという意味だろうか?冗談で考えたが、調べてみたところ、あながち嘘でもないらしいのには驚いた。
まぁ素敵だ綺麗だピカピカだという意味で100万ドルという説もあるそうだが、都会に住んでいればキラキラピカピカツルツルなど珍しくもない。
もしかしたら、四方を山で囲まれている中でのキラキラピカピカだからこそ綺麗なのかもしれないが、寒いので、六甲山に行くのは止めて、大人しくホテルに行くことにした。
翌日。
もうひとりの元同期と神戸観光としゃれこむ。
観光地図を開いてめぼしいところを探す。
港町。洋風。オシャレ。
どうも桜木町と似ている気がする。
はるばる神戸まで来て、何も桜木町と似たり寄ったりの街をうろつく必要はないだろう。
昼間に六甲山に登っても面白くないし、さてどうしたものか。
で、地図の隅に発見したのが「兵庫大仏」
聞いたことがない。
尤も、この世の中で聞いたことがない事なんて山ほどあるのだから、私が聞いたことがないからといってそれが一般的にマイナーとは限らないだろう。と、謙虚な私は考えた。
行ってみることにする。
電車に乗って数駅。
日中は照明がつかないらしく、車内が薄暗いのがなんとなく新鮮だった。電車で本を読むには不便だが、省エネで良いかも知れない。
「中央市場前駅」に着いてみると、小奇麗だが閑散とした駅であった。
兵庫大仏の説明が小さく壁に書いてあったので読んでみると、
「日本三大大仏と称している。」と書かれていた。
称されてはいないのか。
てくてくと人通りの少ない道を歩き、角を曲がると青い頭が見えてきた。
間近で見ると、青銅色で、なんだか新しそうである。
説明文を読んでみると、元は由緒正しい大仏だったらしいが戦争で原材料として提供されてしまい、今ある大仏はなんと1991(平成3)年に再建されたものであるらしい。
私よりはるかに若い青二才ではないか。
自分より若輩者のティーンエイジャーに頭を下げるのもどうかと思ったが、今は能力主義の時代。この年若い大仏様が、私の願いを叶えてくれることもあるかもしれない。
一応小銭を入れて頭を下げて「全てがうまくいきますように」と定番のお祈りをしてみた。
もしかしたら、鎌倉奈良に続く日本三大大仏のうちのひとつである、と称している大仏はたくさんあるのかもしれないが、それでも、これで日本の三大大仏を一応は制覇したのかと思うと、何やら充足感と僅かな寂寥感がこみあげてきた。
無事、兵庫でしか実現できないレアイベントをこなし、次は灘の酒倉に行くことにする。
再び電車を乗り継いで住吉駅で下車。天気は良いが、またしても人気がないのが寂しい感じである。
観光客の流れもないので、私と同行者と2人で地図を見ながら歩いたが、無事、菊正宗の酒臭い資料館にたどり着いた。
小学生の社会科見学みたいな感じで結構真面目に酒造りの歴史だとか過程だとかを見学した後、お土産コーナーを覗く。
一通り見てまわり、最終的には特上と限定品のどちらにしようかと迷った。限定品と特上の値段は同じだから、限定というプレミア値段を考慮すると、特上の方が美味しいのだろうか。そうは思ったが、購入する日本酒は自分用ではなく叔父にでもあげよう、と思っていたものなので、見た目のインパクトが強そうな限定品を選んでおいた。必ずしも良い物が売れるわけではない、という良い見本。
ふたつめのイベントも無事終了。
神戸駅に戻り、お土産を見繕っているうちに夕方になってしまったので、帰ることにする。
こうして無事、小旅行付きの結婚式が終わったのであった。
次の週も結婚式の二次会がある。
それ以外にも既に、二件、結婚式の予定が入っている。
友達の数より呼ばれる結婚式の数のほうが多いというのはどういうことだろう。
何年も会っていない音信普通の知人の結婚式に呼ばれるの何故だろう。
神戸の小旅行はそれなりに堪能した私ではあるが、こう立て続けに人様の幸せそうな顔を金を払ってまで見なくてはならないのかと思うと・・・
みんな、幸せになってね♪
日本三大良い人を称している私は、こう思わずにはいられない。
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