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そんな人に、私はなりたい。

団子より花を
色彩より音の調べを
艶やかな桜より趣深い梅を
味覚の北海道より厳粛な東北地方を
そして、太陽より月を、求める。

そんな人に、私はなりたい。

「なりたい」ということは、今現在そうではない、ということである。
ちなみに、そうなれそうな予感すらない。

だって、月なんて、太陽の光を反射しているだけの衛星じゃないか。
昼間だったら殆ど見えやしない。
発電だって出来やしない。
植物だって育ちゃしない。
でも。

なりたい自分になるために、私は必死で考える。

そう、月には類稀なる美があるじゃないか。
稀である類としては、ホタルの群、ヒカリゴケなどがあるが、環境汚染にも強いという点で月は突出している。 その美しさに惹かれ、夜空に浮かぶ月を眺めて、そんな自分にうっとりする日も確かにある。
ただし、基本的に私は感動を持続する能力において劣っているので、数分後にはそのうっとりした心持など捨て去って、ビール片手にお笑い番組を見て笑っていたりするわけである。


・・・いや駄目だ。これではイカン。このままでは太陽より月が好きな素敵な人になれない。
他に、月の優れている点というとー。


先程、「月なんて、太陽の光を反射しているだけの衛星」と言い放ったが、 本当にそうなんだろうか。
否、月だって我々の生活にそれなりの影響を与えているのだ。
暦を考えてみよう。1月、2月、3月・・・。
ほら、「月」はこんなに生活に密着した使われ方をしているじゃないか!どうよ?太陽さん!
「ねぇねぇ、A子ちゃんの誕生日っていつ?」
「7月17


月の地球への影響といえば、潮の干満だ。
月の引力が海の水をひっぱっているというのだから、これはすごい。 潮干狩りが出来るのも月のお陰なのだ。
ありがたや、ありがたや。昨日のお吸い物の具ーアサリが私の胃袋に納まることになったのも、多分お月様のお力なのである。 ちなみに、太陽も同じように地球へ影響を与えるが、太陽の潮汐力は月の半分くらいであるらしい。
月、ここで初めて一歩リード。


さらに、昔から、月には神秘的な力があると言われてきている。
人類が月面着陸に成功した結果、そこにかぐや姫が住んでいるらしいという噂もどうやら眉唾物だということに落ち着きそうではあるが、それでも月にはまだまだ否定できない不思議なあれこれがある。 言い伝えによるとウサギは15夜に跳ねるらしいし、人間も満月には、稀に狼になるという噂だ。海老も珊瑚も満月に産卵するという。 実際、我が家で繁殖させているヤマトヌマエビも、基本的には満月に抱卵し、次の満月でその卵を放出(孵化)する確率が高いようだ。 家の中で飼っていて、月の満ち欠けを視覚情報より得ることが難しい状態の彼らが、 何故、満月を感じ取ることが出来るのであろう。これは確かに神秘だ。
ただし、この場合どちらかというと神秘的なのは月ではなく、海老だとか珊瑚だとかの方な気がしなくもない。

まぁだけど、何となく、月って、結構素晴らしいんじゃない。
そんな気がしてきた。


・・・さて、月の良さについて、語りつくしたと思う。(早いな)
ここで、再び自分の胸に問いかけてみよう。

太陽と月、自分ならどちらを選ぶ?




別に選ばなくたって支障はないのだ。
実際に太陽と月と、どちらかを選ばねばならない局面に出くわす確率などゼロに等しいし、嘘発見器を付けられた状態で誰かから答えを要求されているわけでもない。 だから、「太陽と月だったらDOCCHI!」なんて究極の選択に対する答えを、貴重な時間を費やしてまで考える必要など皆無なのだが、いつも、ついつい生真面目に考えてしまう。
その昔、「う○こ味のカレーか?カレー味のう○こか?」という究極の選択が流行っていたが、あれだって、別に選んだものを食べなくてはいけないわけではない。 考えるだけ無駄というものだが、何故か悩んだものである。
・・・ちなみに私はう○こ味のカレーだ。

・・・・・・・・・・・・。
いやいやいや、そんな話はどうでも良い。
太陽と月の話だったか。
そう、私が選択したからって、何が変わるわけではない。

だから、今までの話なんて全部無視して、ここはせいぜい、なりたい自分になるために、こういう結論にしておこう。


「勿論、私は太陽より月が好きだ。」


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