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ネズミーシー日記 〜冒険とイマジネーションの海へ〜
先日、ワケあってタダでネズミーシーのアフター6チケットを1枚貰った。
舞浜に行ったついでに1人でシーに向かう。
1人なのは貰ったチケットが1枚だったからである。
チケット1枚で入場出来るのは1人だけである。
3枚だったら3人。
2枚だったら2人。
ということは1枚だったら1人。
1枚のチケットを持っている私が1人でネズミーシーに行くのはとても自然で、何の不思議もない。文句あるか。
18時ジャストに入場。
とりあえず入り口近くの池をバックに撮影。被写体は自分。
己で己を撮影。完結した世界。ちっちぇーな、お前の世界。イッツアスモールワールド。本当は満面の笑みを浮かべたかったのだが、多少人目が気になって、撮影ボタンを押す時だけ瞬間的に唇の端を少し歪ませるに留まった。
ネズミに興味は無いのでとりあえずジェットコースターを探す。
@まずは地図を見て迷いながらフラフラと<センター・オブ・ジ・アース>というジェットコースターに向かう。
あまり並んでいないと良いが、と思いながら20分程度かけてどうにか到着すると、待ち時間5分。つまりほとんど並ばない。快適快適。
当然のことながら複数人数、主にDNAの型がXYとXXのペアが多いが、私のように群れに馴染まないハグレモノも、いないわけではない。世の中こうやって多様性があるから面白いのだ。
無駄なことを考えているうちに、あっという間に自分の番が来る。
係りのお姉さんが笑顔で私に尋ねた。
「何名さまですか?」
見りゃ分かるだろ。と思わなくもないが、見て一度鼻で笑ってから「お一人様ですね」と言われるのもそれはそれで感じが悪いだろうと思うので、敢えて聞くことになっているのも仕方が無いのかもしれない。
「ひとりでーす」
お姉さんに負けない明るい笑顔で返答。
さて、やってきた乗り物に乗り込み、腰でベルトを締めるといよいよ発進だ。
久しぶりのジェットコースター。かれこれ3,4年は乗っていないのではないだろうか。
体に伝わる振動に、興奮して顔がニヤけてくるのを気力を振り絞って抑える。
暫く屋内のメルヘンな世界を低速で通り、何やら大きな虫が出てきた後、上に向かってスピードアップ。
と思ったらイキナリ外の世界へ出て急落下。
結構、凄い。
大砲から飛び出る弾の気分はきっとこんな感じなんだろう。
最初からかなり満足して降りた。
時間があったらもう一度乗ろうかな、などと考え地図を開いたが、方向音痴の私のこと、一度他のところに行ってしまったら、もう二度とここには辿り着けないかもしれない。待ち時間も少ないことだし・・・よし、もう一度乗ろう!
Aというわけで、10分ほど前に言葉を交わした係りのお姉さんと再度
「何名さまですか?」
「ひとりでーす」
という会話をして、乗り込んだのであった。
一度目は何が起こるか分からないまま乗ったので、うぉっと思ったら終わっていたが、二度目ともなると落下の直前が分かるので、一度目よりも緊張してしまい、自分が無駄に足を踏ん張ったのがはっきりと感じられた。もう何も知らない自分には戻れないのだと、少し寂しく思った。まぁ1年もすればすっかり忘れている可能性もある。
連続でジェットコースターに乗った後、<インディジョーンズ・アドベンチャー>に向かうことにする。
勿論これもコースター系だ。
B向かう途中にこれまた空いている乗り物<アクアトピア>があった。
屋外なので外側から見えるのだが、水上でくるくる不規則にまわるコーヒーカップみたいな乗り物である。
まぁ時間はたっぷりあるし乗っておくか。
教訓:軽はずみな行動は、慎んだほうが良い。
1人でコーヒーカップに乗ってくるくるまわっている姿は、かなり、なんというかアレな感じだ。
この乗り物がまた、結構長かった。これは何かの嫌がらせか、というくらい(※飽くまで主観です)長かった。
屋外なので、当然地上からは丸見えで、晒し者の気分である。
私は一体どんな顔をしていれば良いんだろう。
仕方が無いので中途半端に1人でニヤニヤしていた。
その屈辱と忍耐の時間が終わり、そそくさと出口に向かったら、お姉さんに
「そちらは違います、お出口はこちらです」と声をかけられた。
さて気を取り直して・・。
C<ストームライダー>という乗り物を見つけた。
こちらも一応乗ることにする。
スターツアーズみたいな感じで、実際の座席はそれほど動かないが、前方スクリーンの映像によって激しい動きをしているように感じられるという安全設計のアトラクションだ。(以前、似たような乗り物に乗ったとき、同行者がフラフラになって暫く動けなくなっていたことがあったが・・・)
視覚情報の影響の大きさを体験した。
せっかくだから、もう一度、目をつぶって乗ってみればよかったな、と今思いついた。
惜しいことをした。
D次は目的の<インディジョーンズ・アドベンチャー>。
暗いところに入ると思考力も低下する性質なのでストーリーが追えないまま終わってしまった。
まぁでも悪くはないんじゃないの。
誰にも求められていないのにエラそうな感想を心の中で述べて、終了。
降りたところで画像が並んでいる。
いつのまにか写真を隠し撮りされていたらしい。けしからん。
もし門外不出の顔で写っていたら訴訟ものである。<名誉毀損
念のため、他の同乗カップルにまざって覗いてみたが、特に面白ポーズでもステキ顔でもなく、きわめて普通の顔だったので、テンションが上がることもなく通り過ぎたのだった。
Eその後、最後に残ったコースター<ライジングスピリッツ>に向かう。
これまた空いている。
で、乗ってみる。
これは普通に、かなり面白かった。程よい緊張感。落下と回転。
また続けて乗ってみるか、と思ったが、多少アドレナリンが出すぎている気もしたので、ひとつクッションを挟むことにする。
F歩き出すと、乗り物系を発見。
「シンドバッドなんたら」
まぁこれも行ってみるか。
教訓:だから軽はずみな行動は、慎みなさいって。
簡単に言うと、「ちっちぇー世界」のシンドバッド版だ。
船型乗り物、定員24名のところを1名で。
所要時間約10分。
カタカタと動く全体的にバランスがおかしい人形達の中を、なすすべもなく流されていく。
ドナドナドーナードーナー。
屋外アトラクションではないので、虚しいだけで恥ずかしくはないのが救いか。
まぁこれも滅多にない貴重な経験だ。
やるかやらないかなら、やらなくても良い事というのが人生にはたくさんある、というのは私の持論ではあるが、やらなくても良い事と、やってはいけない事とは別だ。
何も取り返しのつかない失敗をしたわけでもない。こんな日もあるさ。
G気分転換、というか、明らかに脳内物質の量は減少した模様なので、予定通り<ライジングスピリッツ>に戻り、再度360度の世界を楽しむ。
やべー、面白い。
満足して降りたが、歩き続けていたのと、バラエティに富んだ緊張の連続で、だいぶ疲れてきた。
時計を見ると20:30少し前。
確か、パンフレットには20:30から花火か何かが始まるらしい。
ふらふらと中央の池に向かって歩き出したところ、放送が流れた。
「天候が不順なため、中止となりました。御了承下さい。」
Hさてどうするか、もうそろそろ帰るかな。と再び彷徨い始めると、ヨッ奇遇ダネ!最初の<センターオブジアース>の真ん前にいた。
仕方が無いので乗ることにする。本日3度目。もう係りのお姉さんとも(一方的に)仲良しだ。
「何名さまですか?」
「ひとりでーす」
進歩のない会話。
今度は運良く一番前。
やはりあの宙に飛び出す瞬間がたまらない。
もしかして、あまりの恐怖に頭の回路がおかしくなっているだけかもしれないが、とても楽しいことをしていたような充足感を得た。
満足と疲労が私に帰宅をうながす。
入り口に向かった私の視界に、ひとつの看板が入ってくる。
I<海底二万マイル>
なんだか聞いたことがある。
もう心も体もフラフラだが、貧乏性の私としては、行かないわけにはいかない。
ぐるぐるとまわる坂を下りていき、やはり待ち時間ゼロで乗り口まで到着。
なんだかこじんまりした観覧車の個室みたいな乗り物だ。
えーとこれもやっぱり・・・
「お一人での御搭乗となります。5分ほど密室になりますがおひとりでも大丈夫でしょうか?」
入り口と乗る前と2回も確認を取られてしまった。
私はその都度、本日最高の笑顔で問題ない旨伝えた。
閉所恐怖症でパニックにおちいる場合もあるのだろうか。
乗ってみると確かに密室で、ちょっとした防音室みたいな張り詰めた空間だ。
こういうのは危機管理のためにどこかに監視カメラでもついているのだろうか。
今ここで鼻歌歌ったら誰かに聞かれちゃうんだろうか。
今ここで全裸になったらヤバいのだろうか。
とりあえずぐるぐる顔をまわしてみたがそれらしいカメラはとりあえず見つからなかった。とはいうものの、本当に監視されていたら恥ずかしいので、全裸になることもなく、適当なところで首フリを止める。
「前方の席の方は、レバーを操作することでライトの方向を変えられます」
途中アナウンスが流れたので、馬鹿正直にぐりぐりとライトをいじってしまったが、
ふと我に返って己の姿を客観的に見てみると、なかなかに、なかなかな感じだった。
まぁ今更という話もある。
以下、18:00〜21:00までの攻略内容まとめ
センター・オブ・ジ・アース(落下系コースター) 3回
レイジングスピリッツ(回転系コースター) 2回
インディ・ジョーンズ・アドベンチャー(ストーリー系コースター) 1回
アクアトピア(水上コーヒーカップもどき) 1回
ストームライダー(スターツアーズもどき) 1回
シンドバッド・セブンヴォヤッジ(イッツアスモールワールドもどき) 1回
海底2万マイル (密室に5分) 1回
計10回。
これが何を意味するかと言うと、係りの人に「何名様ですか」と聞かれて
見りゃ分かるだろうと思いながらにこやかに「ひとりでぇーす」と答えたのが10回ということである。
冒険とイマジネーションに富んだ、非常に楽しい夜であった。
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