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調味料のさしすせそ
さ:砂糖(さとう)
し:塩(しお)
す:お酢(す)
せ:醤油(せうゆ)
そ:みそ(みそ)
今日も今日とて彼等は低レベルな争いを繰り広げていた。
どのくらい低レベルかというと、それはもう、G松井の顔の凹凸とG桑田の顔のホクロと、
どちらの方が多いかの議論くらい低レベルな争いなのである。
「私達の中で一番劣っているのは誰だと思いますか?」
全ては、昔話「酢桃太郎」を読んでいた酢のその一言から始まった。
(塩)まぁ普通に考えて、それはみそ、貴様だな。
「さ」が砂糖、「し」が塩、「す」はそのまま酢、まぁ「せ」が醤油というのも少し無理があるが、
古い仮名を用いれば確かに「せうゆ」も許せない範囲ではない。
だがしかし、味噌は、どう考えたって「そ」じゃなくて「み」だろう。
独りだけ語尾を使うなぞ、貴様見苦しいぞ。
冷静で優秀な塩の発言である。
(砂糖)そうだそうだ、君が一番ダメダメ君だねっ!ミソミソ〜♪って君、音符なワケぇ〜?あははっ!
調子に乗ったように横から騒ぎ立てたのは
その場その場の権力者にすぐ追従する砂糖である。
(味噌)う・・・!!!
一瞬ひるんだ味噌であったが、すぐに気を取り直して反論を開始する。
(味噌)
ふっ。オメェ、ラーメンってえものを知っているか?
(砂糖)なっ・・・!!!
どうやら痛い所をつかれた様子の砂糖
(味噌)塩ラーメン、味噌ラーメン、
(砂糖)
や・・・やめろおぉっ!!
(味噌)そして醤油ラーメン。まぁ、酢ラーメンてのは無いが、一応
ラーメンに酢を入れて食うヤツはいないわけじゃあ無いからな。
けどなぁ、ラーメンに砂糖入れて食べるアホが、この世の中に
いるか?いるわけねぇよなぁ。なぁ、砂糖。
(砂糖)うぐ・・・。
(味噌)ま、しかしあれだな、砂糖は論外だけど、塩ラーメンってぇのも
なんか安っぽいよなぁ?
先程の恨みを忘れていたわけではなかったらしい。
軽いようだが、案外しつこい性格なのかもしれない。
(塩)・・・貴様のその味噌っ歯をへしおってやる(怒)
(酢)でも、味噌ってあの色といい粘度といい
何か健康的な排泄物みたいですよね。
突然会話に加わったのは、上品なようで実は一番辛辣な酢。
流石だ、酢が効いている。
(味噌)あに言ってんだっ!
オメーは調味料の中では一番重要度が低いだろが。
オレは日本の食卓に必要不可欠だがな。
味噌汁、オレの汁だぜ。
それに比べてテメーはだ、酢、
ただ「さしすせそ」の「す」にあたる調味料が他に
見当たらなかっただけだろうが。
ま、こいつでいいか、みたいな?
(みりん)
そうだよ、本来ならアタシの方が仲間に入るべきなのに!!
一同無視
(酢)
日本の食卓、ね。それ自慢のつもりですか、味噌?
味噌・・・ああ、それから醤油もでしたか、
貴方たちはローカルだよね。日本という狭い国ひとつの中でしか大手を振って歩けない
癖して、5大調味料としてその名を連ねようとするのですか?
ふん、おこがましいですね、まったく。
(砂糖)
そうそう!僕もそう思うよっ!
君たちと比べて、僕らは世界中どこででも必要とされている贅沢な調味料なんだよぉ。
頭に来たらしい味噌と醤油が結託する。
(醤油)
へっ、砂糖なんか食後のデザート風だぜ。はっきりいってお前、
メインディッシュじゃないぜ、脇役。オマケ。っていうかコンビニのスパゲッティに
乗っかってるパセリ並み。
割と口が悪いらしい。
(味噌)
だよな。テメーはガキのクセして甘ったるいだけの、ただの女ったらしなんだよ。
(砂糖)
うう・・・
(醤油)
そーそー。
あとさ、前々からおれ思ってたんだけどよ、
塩って俺の中に入ってる一部分でしか無いじゃねぇ?
調子に乗って塩まで馬鹿にし始めた醤油。
(塩)違うな。貴様の物の見方は間違っている。
俺が貴様の一部なのではない。貴様が俺の副産物でしかないのだ。
人類が生存するためには必要なのは俺であって貴様ではない。
追い討ちをかける酢
(酢)
醤油君、私も貴方に一言いいたいのですが、宜しいですか?
同じ液体でも私は無色透明だけど貴方はどす黒く濁っているような色ですよね。
なんていうか不純な感じです。
そうは思いませんか?
(醤油)
ぬぁあにが無色透明だよ!お前は
中途半端に黄ばんでんじゃねーかよ。きたねーなっ!
(酢)なに!?貴方こそ
過剰な摂取は体に良くないんです。大体、砂糖、
貴方も人々の歯を
蝕むし、それだけではない、糖尿病の原因でもあるのです!私を見習いなさい!
酢は貴方と違って健康に良いのですっ!
(砂糖)な、なんで僕に矛先が・・・(泣)
え・・・えぇいい!!酢なんて味噌食らえだっ!!
(味噌)テメーなめてんのかっ!(激怒)
(塩)・・・くだらん。実にくだらん。
(味噌)テメーみてぇなただ塩っ辛いだけのヤツに、オレの複雑な味覚が分かるかってんだ!
(塩)なんだと!!黙れ、この味噌っかすが!!
こうやって今日も、彼等の低レベルな争いは続くのである。
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