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ソリティア

最近の子供は部屋に閉じこもってゲームばかりと聞くが、全くけしからんことである。あれでは部屋の明かりにエアコンに加湿器にゲーム機本体、接続するTV、と、多量の電力を消費する。 ときどき小腹が空くと電子レンジでコーヒーを暖める。 さらには攻略法を調べるためPCの電源まで入れる。 起動までの時間、無為に待っておられず、ベランダに集まっている鳥に餌をあげる。 そうしてダルくなると、寝る。

・・・はっ!
いつの間に自分の休日の紹介になっていたのだ!?

さて、私も生活のあらゆるシーンで不要な電力を消費している 現代人であるわけだが、 電力を消費しないエコロジカルな一人遊びをひとつも知らない訳ではないのだ。
今日は罪滅ぼしも兼ねて、いくつか御紹介しよう。

■勝手にシナリオ
電車の中というのは、閉じられた空間の所為か、比較的楽しみを見つけやすい。 これは知人から教えてもらった遊びだが、日本語の会話が聞こえてきたら、 それを外国語だと思い込んで聞くと、ちょっと面白い。 音韻体系が近いのか、韓国語や中国語として聞くのは比較的やりやすいが、やはり英語や欧州の言葉に聞くのは結構至難の業である。どうしても音から意味を拾ってしまう。だが、良い具合に電車の走行雑音が入ってくれると、ドイツ語だと思い込むことだって不可能ではない!
なんでそんなのが楽しいんだと自分でも思わなくもないが、何故かこれが結構面白いのだ。 未体験の方は今度是非、お試しあれ。 うまく聞けたときは、ちょっと嬉しいから!!

電車の中といえば、皆が黙りこくっていて、会話が聞こえてこない時は、近くにいる人の考えていることを勝手に想像するのも面白い。例えばこんな感じ。

(あぁあ〜、今日も挨拶の後、上司の頭頂部に目をやっちゃったよ。気付かれたかなぁ・・。)
(あら、あそこの人、アタシのこと見てる。お生憎様、アタシ、そんな安い女じゃないのよ。)
(ケッ、どいつもこいつも馬鹿にしやがって。)

アリがちな台詞のほうが面白い。
タイミングよく、ため息をついてくれたときなんて、一人で最高に盛り上がること間違いナシである。

■看板探し
外が見える時は、看板を探すのも楽しい。
その日その日で「部首」を決め、木へんなら木へん、にんべんならにんべんで、文字を 見つけていくのである。 これまた何が楽しいのか良く分からないが、私は、楽しい。

看板といえば、昔、山手線を使っていた時は、車窓から見える「野崎のコンビーフ」の電柱看板の数を端から数えるのが習慣だった。
これが、何故か日によって増減する・・・わけは勿論ないが、普通に並んでいるのにどこかで数え落としをするのだろう、結局未だに何個あるのか正確なところは分からずじまいである。 山手線に乗る度に数えていたから、きっと楽しかったんだと思って紹介してみたのだが、もしかしたらただ単に暇つぶしだったのかもしれない。
あの看板は今でもあるのだろうか。

■一人宝探し
探し物つながりで、「一人宝探し」も紹介しておこう。
幼いとき、母親が裁縫箱を出したときは必ず針山が私のオトモダチとなったものである。そんな可哀想な幼少時代を過ごしたから、こんな風になってしまったのか・・。(笑 )

えーと、さて、「針山で宝探し」の話だが、勿論針山であるから、この場合の宝は「針」である。マチ針は頭が大きいので針山から常に頭を出している状態だが、普通の針(縫い針?)は頭も先端と同じような細さなので、針山の内部に完全に隠れてしまっていることがあるのである。それを探し出すのが面白い。 うかつに針山に力を加えれば、己の指に針がつきささる危険性もある。そんなギリギリの緊張感をもって慎重に針を探し出すのが快感なのである。デンジャラスハードボイルドな世界である。
ただし、「いつの間にか入り込んでしまっている」針を探すわけだから、場合によっては1本もないこともあるわけで、そんなときは本当にがっかりだ。 逆に4本も5本も見つかると、私はこっそりと子供なりに狂喜したものだった。
自分でもちょっと偏執的な喜びなような気がしないでもないが、いやでも、大ヒット作の「インディジョーンズ」シリーズだって、宝探しの話だったよな、たしか。だからきっと針山の針探しは、万人受けする一人遊びだと思う。
やったことがない人は、この機会に是非!
ただ、この針山宝探しには欠点がある。 既に述べた内容だが、『「いつの間にか入り込んでしまっている」針を探すわけだから、場合によっては1本も探し出せないこともあるわけである』。 ギャンブル好きの人はそれも楽しみのうちかもしれないが、自販機で、押したボタンと違う品物が出てきたら頭にくる平均的な人間であれば、1本も針が埋まっていないという状態は却ってストレスにつながる恐れもあるので注意。

もうひとつ、最後に私が御紹介しようと思うのは、「札探し」である。
実は勤め始めてからはこれをやらなくなってしまっているのだが、それでも学生さんむけにはなかなか楽しい一人遊びだと思うので、学生の諸君には是非一度、やってみてもらいたい。
ゲームのルールはとても簡単だ。
何枚か札が手に入った時、自分の机のあちこちに「仕込む」のである。
机の隙間だったり決して開かない教科書のページの間だったり。
で、何週間、もしくは何ヶ月かたって、必要に迫られた時に、机のあちこちを 探してみるわけである。
放ったらかしのノートの隙間から万札が見つかった時の喜びよ!!
わざわざ隠して、見つけだす。このマニアックさがたまらない。
ただし記憶力の良い人は楽しめないという致命的な欠点はある。
・・・ちなみに私は充分に楽しめた。
また、掃除好きの人も「万札を捨ててしまう危険性」というものがあるので注意が必要だ。
・・・ちなみに私には、その恐れは全くなかった。


以上、人様に紹介できる範囲での(!)エコロジカルな一人遊びを紹介してみたが、如何であっただろうか?
こんな風に地味に楽しい一人遊び、他にもあったら是非紹介して頂きたい。

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