玄翁の頭は、平らな面と丸みがある面がある。平らな面で釘を打ち、丸く出っ張りのある面は、釘の頭と木の表面を平らにするときに、木に傷を付けずに釘を打つことが出来る。またほぞ組をするときに、この丸く出っ張りのある面でほぞ穴の周りを軽くたたいて、木の表面を凹まして接合面の隙間が出来ないようにする。このことを「木殺し」という。
玄翁の大きさは重さで決まり、大きく分けると大玄翁は650g〜750g(180〜200匁)、中玄翁は400g〜500g(100〜140匁)、小玄翁は250g(60〜70匁)前後である。この他に1kgを超える玄翁もある。
普通には中玄翁を使う。長い釘を打つときは柄を長く持って、小さな釘を打つときには短く持って使うが、釘の大きさによって玄翁の大きさを変えると打ちやすい。力を入れずに玄翁の重さだけで打つのが基本で、釘が曲がることが少なくなる。
【金槌(かなづち)】
金槌は一般に大工が使う道具と思われているが、関東の大工が使うのは玄翁(図1)である。図2は関西型といわれ、金槌と呼ぶ。主に関西の大工が使う道具である。


図3
簡単な日曜大工に使うなら、このタイプの小ぶりのものが良いと思う。
【面白い金槌】
椅子の張り屋さんの金槌(図4)を紹介しよう。先が二つに割ってあり磁石になっていて、釘が付くことにより椅子の生地を片手で引っ張りながら、片手で釘を持たずに打てる様になっている。
この他にタイル屋さんの金槌、経師屋さんの唐紙金槌、瓦屋さんの瓦屋金槌など職種に合った金槌があり、それぞれ特長があって面白い。
【玄翁(げんのう)の柄のすげ方について】
柄は樫の木を使ってすげるのが普通である。他にはコクタン、桜、ツゲなどを用いる時もある。
柄をすげるには季節があり、関東では空気の乾燥している冬が適している。この時期は木の中の水分が自然に抜けて木がいちばん乾燥して痩せている。この時にすげた柄は年間を通じて頭が抜けにくい。玄翁を使っていて、突然頭が抜けるという危険なことにはなりにくい。
1)材料の選び方
樫の木目は 玄翁を振り下ろす向きと同じ方向で、すこし太めのものを選び、木目が真っ直ぐに通ったものを選ぶと、折れずに長持ちする。(図1)(その他の材料の時も同様に選ぶ)柄の長差は一尺(約30.3センチメートル)前後で、使う人の好みでいい。
2)柄の削り出し方
削るのに使う道具は、小鉋(こがんな)、あるいは小さな反り台鉋、南京鉋、なければ普通の鉋である。これらの道具を使って、基本になる形まで削り出し、小刀などで形をととのえサンドペーパーで仕上げる。玄翁の柄は、(図1)のように削り出す。

図1
・(図1)の柄の形に、自分の使いやすい太ささに削る(形状は卵型にする)。
・取り付けの時には玄翁の頭の丸い面を上にして平な面を下に向けて、定盤に立ててグリップエンドの所を小指一 本程の間隔をあけるようにする(大玄翁の時にはグリップエンドと定盤間隔が広がる)。
・(図1)の柄の上部を頭に対して直角にして、グリップエンドまで直線に削る。
・下の面はゆるい曲線になる様に削る。
・柄に頭をとりつける時には、木殺し(木を玄翁で叩いて軽くつぶすこと)をして、きつめに差し込む。鉄や木の くさびなどを使い、柄を固定すると後で突然頭が外れて危険である。ゆるくなった時には、はがきなどの紙を柄 に張り付け、きつく仕込むと良い。
・柄を通す穴を、鉄ヤスリなどで面取りをして、柄を入れる時に削れてメクレないようにしておく、こうすると柄 を叩き込みやすく、しっかり入る。
上から 唐紙金槌・小玄翁・中玄翁・関西型小玄翁・関西型中玄翁参考 三軒茶屋の大工道具屋さん土田一郎氏の話より
<参考資料> 「図でわかる大工道具」 永雄五十太著 理工学社刊
木工具・使用法」 秋岡芳夫監修 吉見誠述 創元社刊
